『ネオン・デーモン』〈原題: The Neon Demon〉
『ネオン・デーモン』
公開翌日に見てきました。
わたしの直前でパンフレット*1が売り切れた衝撃は忘れない。
まだ幼さの残るエル・ファニングの絶対的な可愛さ、儚さ、そして危うさ。それらが作品の中で飛び飛びに現れ、混ざり合う。
初めのうちは「田舎から出てきた内気そうな少女」に観客は感情移入するだろう。しかし徐々に、彼女の内に秘められたナルシシズムに気付く。違和感を感じつつ見守る観客を余所に、物語はジェットコースターのようにスピードをもって走りだす。エンドロールが流れ出す頃にハッと我に返って思うのだ。「わたしたちは一体誰で、何を観ていたのだろう」と。
「あのカメラ小僧のボーイフレンドはどうなったんだ?」とか「メイクアップアーティストの女性は死んだのか?」「というか隣の部屋の女の子はどうなった??」といった細かい疑問点は沢山ある。
しかし、おそらくそれらは関係ないのだ。ブツ切りになって観客的には意味不明な要素はきっと、監督が伝えたかったメッセージとは重要な関係を結んでいない。だから「わたしたち」にとっては中途半端な状態で切り捨てられている。
「美という絶対的な存在の前では、全てのものが無に還る」
エレクトリックな音楽に合わせて流れる夢のように美しい映像。万人受けはしないと思うが、観る価値は十分にある。しかし、もう二度と見返すことはないだろう。
そして、これだけはどうしても言いたいのだが、モーテルの管理人にキアヌ・リーブスを起用するのは余りにも贅沢すぎだ。こんなの、その辺の通行人Aレベルの駆け出し俳優で良いのでは?
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狂気的な展開を期待させる冒頭のシーン。
写真は下記から拝借しました。